「はい」か「いいえ」で答える質問にも、話を広げるモノがある~誘導尋問の制限の例外(民事裁判)

新しい知り合いができたので、勇気をだして、例の質問をしようと思っています。「はい」か「いいえ」で答えられる質問なのに、相手がノリノリで返してくれる可能性が高いものです。

 

ポイントが3つあります。1つめ。まず、前もって、相手の好きなモノを教えてもらいます。テレビ、動画、映画、音楽、スポーツ、本、など、なんでも良いです。あまりマニアックでなく(相手がぱっと答えられそうで)、自分も見たり聴いたりするのが苦にならない種類のものが良いです。間違わないように、番組名、曲名、題名とか、何曜日に芸人△△が出ているバラエティなどと特定してもらうのが大事です。私は「★★さん、最近どんなテレビ見てますか?動画、映画とかでも良いですけど、おもしろいのあったら教えて下さい」などと、すこし広めに訊くことが多いです。

 

ポイント2つめ。教えてもらったら、ちゃんと自分で見たり聴いたり読んだりします。初めはいまひとつ面白さがわからなくても、とにかく最初から終わりまで、ひととおり見たり聴いたり読んだりするのが大事です。そうすればどこかで面白さが見つかるかもしれませんし、すくなくとも「ちゃんと見た」と伝えられる、登場人物の名前とか、展開とかをふまえたこと、が言えますからね。

 

3つめ。いよいよ、例の質問=「★★さん、〇〇がお好きでしたよね?」と質問します。ここでポイントは、「お好きでしたよね?」の後に間を空けず、「私も見てみました! おもしろかったです~」「私も読んでみました! あのラストすごいですよね~」などと続けることです。「教えてもらったモノをちゃんと自分で体感したこと」と「自分もいいなと思ったこと」を、一気に伝えるのが大事です。

 

質問と言っても、前もって「好き」と言っていたことを「お好きでしたよね?」と確認するので、答えは「はい」に決まっています。でも、たいていの場合、相手は答えを「はい」にとどめず、嬉しそうなニコニコ顔で、もっと話をふくらませてくれます。

 

こんなふうに、「はい」か「いいえ」で答えられる質問でも、相手をのびのびさせられるものがあります。それなら、民事裁判における尋問でも、正確な証言が得られそうなので、使っても良さそうです。誘導尋問が一律禁止とされていないのは、こういうケースがあるからですね。

 

誘導尋問を例外的に許す民事訴訟規則113条2項で「正当な理由がある場合」とありますが、もう少し具体的な規定がなかったかなぁ・・と調べたところ、刑事裁判のほうでした。「証人の身分、経歴、交友関係等で、実質的な尋問に入るに先立って明らかにする必要のある準備的な事項に関するとき」「訴訟関係人に争のないことが明らかな事項に関するとき」などに、誘導尋問が許されています(刑事訴訟規則199条の3第3項1号・2号)。尋問は緊張するものなので、こういった規定はカチコチな状態で読むことが多いのですが、新しい知り合いとの仲を深めるための質問と絡めて理解したら、ぐっとあたたかさを感じました。